ICU看護でやりがいを感じる時【ICUはやりがいを感じづらい?】
私が7年程ICUで過ごす中で、やりがいを感じ始めるようになったのは3、4年目のころだったと思います。それまでは、日々の業務をこなすことにいっぱいいっぱいだったのと、たくさんの機械につながれている患者さんを見て、個人的に倫理的疑問を抱いていたので、やりがいを感じるというよりは日々の勤務をこなしていく中での達成感だけがあったように思います。
新人の頃は私のように倫理的疑問を抱いたり、やりがいを感じられない人が多いのか、若くしてICUは合わない、と離職をしたり異動を希望する人も多いです。そしてある程度時間を過ごしたスタッフでも、あまりやりがいを感じることができずに去っていく人もいます。
ICUは、本来病棟で管理できないような重症患者さんがいる場所なので、ある程度状態が落ち着くと患者さんは一般病棟に移されます。ICUが分離されているような病院では、超急性期の生命の危機をさまよっているような患者さんを一生懸命看護したとしても、退院していく元気な姿を見ることはできません。
たまに長期間ICUで過ごした患者さんが退院時にあいさつに来てくれるようなこともありますが、実際ICUで過ごす患者さんの多くは、ICUで過ごしたことを思い出したくなかったり、覚えていなかったりするのです。そして亡くなっていく患者さんもとても多い。看護師の立場からすると、自分は何のために働いているのだろうと無力さを感じたり、やりがいを感じづらい状況ではあると思います。
それでもやはり感じるやりがい
適材適所があるので、全員がそうとは言えませんが、それでも私が感じることは、やはりICUはやりがいの多い場所だということです。患者さんが重症な分、やるべきこと、介入すべき点はいくらでもあるからです。
ルチーンの仕事だけをこなしていては、やりがいをみつけるのは難しいかもしれません。だから私も3、4年目になってやっとやりがいを感じられるようになったのだと思います。新人のころや慣れない頃は、当然自己判断ができないので、先輩から言われた通りに業務をこなすことが多く、自分たちの行っている一つ一つの小さな行いが患者さんに影響していると実感することがあまりできません。
ですが、指示する立場になった時、自分のアセスメントが患者さんやご家族にどんな影響を及ぼしているか、実感するようになります。急性期だからこそレスポンスがとても早いのも良い点と言えます。
私の個人的な意見ですが、ICUでの看護師の仕事の一つに、自分の受け持ちの時間内で患者さんをどうやってどこまで良い状態に持っていくか、ということが挙げられると思います。自分が受け持った直後と受け持ちを離れる時を比較した際に、患者さんの全身、精神状態なり清潔状態なり、何か少しでも改善された点があることが望ましいですし、そのために私たちは働いているのだと思います。そして超急性期のICUではその変化を勤務内で感じることが可能なのです。その変化を実感することがやりがいにつながっていくのではないでしょうか。
共通して感じるやりがい
そして看護師の方はどこにいてもみなさん少なからず感じていることだと思いますが、私の一番は、患者さんやご家族から感謝の気持ちを頂いた時です。特に、個人的に名指しで、あなたがいてくれてよかった、あなたに看てもらえてよかった、あなたがいると安心する、そういった言葉を患者さんやご家族にかけてもらえた時の気持ちは、何とも表現できません。感謝されるために仕事をしているわけではないのですが、不意にそういった言葉をかけてもらえると、またがんばろうという気持ちになります。
ICUだからこその辛いこともたくさんありますが、病棟に比べて重症だからかそういった言葉は頻繁に聞けるような気がします。やりがいを感じるまで、時間はかかるかもしれませんが、ぜひ続けてみて、少しでもやりがいを感じてもらえたらと思います。
