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留置物の事故、自己抜去のアクシデント

7年程ICUで働いてきて、幸い大きなミスや事故はなかったですが、インシデントレポートを書くようなミスを何度かしたことがあります。

 

留置物の事故/自己抜去

一般的にも多いインシデントの一つに留置物の事故/自己抜去があります。私も何度が経験しました。

 

ICUの患者さんはほとんどの場合、基本的に気管内チューブや胃管、IVHが留置されています。全身状態を考慮した上で適切な鎮静をかけていきますが、鎮静のおかげで留置物に対する苦痛も軽減されます。

 

ですが状態の改善に伴い、気管内チューブを抜管していく過程で、自力での呼吸を促すために鎮静剤を少しずつ減らしていかなければなりません。そうすると、今まで強い刺激でうっすら目を開ける程度だった意識が、もうろうとするくらいになってきたり、少しの刺激で簡単に目を開けたり、常に目が開いてコミュニケーションが容易にできたりといった状況になります。

 

意識レベルが上がってくると、精神的に錯乱したり、いわゆるせん妄状態になることもありますし、突然自分の置かれている状況に気が付いて驚いたり、留置物の不快感が増したり、と様々な変化が現れます。必然的に留置物の事故/自己抜去が増えるので、注意をしなければいけないところです。

 

抑制は適切に

精神的な苦痛を和らげる、睡眠パターンを確立する、鎮静剤の投与量を検討する、など色々と予防法はありますが、どれも奏功しない場合があります。そういう時は仕方なく手にミトンをつけたりして物をつかんだり引っ張ったりできないようにするのですが、実際つけてみるとミトンって本当に不快なのです。

 

ミトンは蒸れるし、別に留置物を引っ張ろうとしなくても、顔をちょっと掻きたいとか、そういう些細なことってありますよね。そんな時でも自分の意志で手や指が動かせなかったり、ちょっとした欲求が満たされないというのはとても大きなストレスになります。実際に、ミトンをつけることで余計に不穏になったり、イライラしたりする患者さんが多いように感じました。

 

むやみに抑制しない

後輩の中には、自己抜去を避けようとするあまり、顔のあたりに手を持っていくだけで警戒して手を抑えたり、下げたりするスタッフがいましたが、これは注意しなければいけません。確かに留置物を守ることは患者さんの安全を守ることですし、再留置には苦痛や危険が伴うこともありますので患者さんのためではあるのですが、顔にテープがベタベタ貼られていて痒いのも分かりますし、肩が痛いから腕を上にあげたいとか、患者さんは気管チューブのせいで声が出ないけれどそういう日常的な欲求は当然あるのです。

 

患者さんがどういう意志で動こうとしているのか、それを見極めてから対処しても遅くはありません。小さな行動を見ながら、何が不快なのか読み取って行き、それに沿ったケアをしたり説明をしたりすることで、患者さんのストレスを少しでも軽減することにつながります。ICUは病棟と違って、看護師がすぐ側にいますので、私は目の届く範囲に自分がいれる状況であれば、なるべくミトンはしないようにしていました。

 

ただ、必要な場合ももちろんありますから、そこはきちんと見分けて判断するべきです。

 

優しさが仇に?

私は、できるだけ抑制はしたくない、と思うタイプの看護師でしたので、自分の目の届く範囲であれば極力ミトンを使いませんでした。その分常に観察していたり、離れる時はその都度ミトンをしたりと仕事は増えますが、患者さんのために絶対にムダな抑制はしないと誓っていましたので仕事が増えるのは仕方ないことだと思っていました。

 

しかし、思いもよらない引っかけや、一瞬患者さんがもうろうとしてしまったり、といった思いがけない事故/自己抜去には何度か当たりました。抑制していても、思いがけない事故というのはありますが、抜去されたのを発見した時は落ち込んだものでした。万全、というものは存在しませんが、どこでラインを引くのか、難しいなと何年働いても感じていた葛藤でもありました。

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